トライアル入社は企業と候補者の両方にとってよい選考?HERPの運用3年間|スクラム採用のウラ側
こんにちは、HERP公式note編集部です。
連載企画『スクラム採用のウラ側』です!
このnoteでは、現場社員を巻き込んだ採用手法「スクラム採用」を実践するイチ企業として、HERPの実践をオープンにするべく、現場で今取り組まれている採用活動のウラ側をお伝えしていきたいと思います!
前回の記事はこちら
第2回のテーマは「トライアル入社は企業と候補者の両方にとってよい選考?HERPの運用3年間を振り返る」です。
HERPでは現在選考フローとして原則2回の面接のあとに、2週間程度のトライアル入社、もしくは面接の場だけで簡潔するワークサンプルテストにて課題選考をおこなっています。
トライアル入社を取り入れている企業はまだまだ多くはなく、運用実態やメリット・デメリットがオープンにされていることは少ないです。
そこで、HERPがトライアル入社を3年間実際に運用してみての、率直なメリット・デメリット、また課題選考を実施したからこそ分かった率直な本音をオープンにしていきたいと思います。
今回は、弊社のCEO庄田とCOO徳永、そして候補者目線でのお話を聞くために入社したばかりの法務の柴田さんに話を聞いてきました!
登場人物
トライアル入社を始めた経緯は?
―HERPでは2週間くらいのトライアル入社を選考フローに組み込んでいますが、これはいつ頃から始めたのでしょう?
徳永(COO):
2019年くらいからですかね?
インサイドセールスのinomamiが初のエージェント経由の入社で、トライアル入社の選考フローを経て、入社決定になったのがすごく記憶に残っています。inomamiの入社エントリでもそのことが書いてありますね。
庄田(CEO):
そもそもそれ以前からも、インターンであったり業務委託でお試しで働いてからジョインしてもらうという流れが自然に行われていたんです。
創業期のメンバーもみんなインターンから一緒にコミットしてやっていけそうな人に正社員になってもらってという感じで、1回一緒に働いてみてからお互いに判断できるようにしたいよね、というのが2017年頃からそうなってました。なので、それが正式に選考フローの形になったのが、”トライアル入社”になります。
―どうしてトライアル入社を続けていこうと思ったんでしょうか?
庄田(CEO):
元々は、僕がエウレカに入社する前に、1回フリーランスになっていろいろな会社で業務委託で働いてから転職先を決めようと思って、いろいろな会社でトライアル的に働いていた時期があったんです。
結果的にエウレカに入社することになったけど、その時思っていたのは結局一緒に働いてみないと実際分からないよねっていう考え方が根本にあります。
ー庄田さんが候補者だったときの原体験から来ているんですね。
僕はその転職体験がめちゃくちゃ良かったから、自分の会社でもそうするのが、採用する側もされる側もいいんじゃないかなと思って、そうしています。あとは、入社する人にはいろんな人に喋ってもらって会社を100%理解して入社を決めてほしいと思っています。
僕がそのとき受けた課題選考では、ジャッジメントのために役割を振り切っているところも多いけど、HERPの場合はそうでなくて、会社をオープンにしたいという意味合いが強いです。
なので、今では面接だけで完結するワークサンプル形式も取り入れるようになったけど、トライアル入社の選考も止めていなくてやり続けていますね。
トライアル入社・課題選考のメリットは?
―課題選考は運用コストなどもかかる選考ですが、企業側としてどのよう
メリットを感じていますか?
庄田(CEO):
やっぱりマッチング精度を上げられることに尽きますね。
実際、見極めの役には立つんです。やっぱり面接だとその場のコミュニケーションだけで判断するから正確性が担保できなくなっちゃったり、キャリアでのこれまでの話でしか判断できないので。
徳永(COO):
一般的に、ワークサンプル形式が一番見抜けると言われてるけど、実際の体感は、面接の見極めの打率みたいなものが3割だとしたら、ワークサンプルだと5割くらいに上がる感じですかね。
面接でいいかもと思っても、ワークサンプルで自分たちが期待してた感じではなかったってことは、実際よくあります。
庄田(CEO):
ただ、マッチング精度を上げられるっていうのは、企業側の見極めだけに言えることでなくて、候補者さん側でも言えると思っています。
面接だけだったら人間なんて分かんないよねっていう立場に僕はいるから、そういう一緒に仕事する時間があるほうが絶対いいよねと思う。だから、トライアル入社って形で会社のなにもかもをオープンにしてるわけです。
ーSlackやドキュメントツールなどは通常の社員として入社するのとほぼ同じくらい情報を閲覧できるようにしてますもんね
徳永(COO):
だから候補者が見たいと思った情報は、ほぼすべて見に行ける状態にあると思います。あとは、週次全体会議にもトライアル入社に進んだ候補者さんを招待してますが、これも候補者さんから結構、評判が良いですね。
ー候補者目線で感じたことも聞きたいのですが、最近入社した柴田さんはどうでしたか?
柴田(法務):
最初はトライアルって聞いたとき、ちょっとめんどくさいなって気持ちはあったんですけど、結論としてはすごく体験としてよかったです。僕自身も、面接だけで本当の自分を見せれるのかなと思っている面もあるので「面接だけでは分からない」ということに同意見です。
会社のことを入社するのと同じくらいオープンにしてくれるのもすごく嬉しかったです。
エージェントの紹介を受けてたくさんの面接を受けていても、大半はホームページの情報と、面接官の方の喋る言葉や表現から推測して「こういう会社なんだろうな」と想像するしかないんです。
その中でHERPはこんなにアクセスしてもいいのってくらい、Slack、Notion、Scrapbox、全部見れちゃう。こんなに情報開示してくれるんだってびっくりしました。
課題の中でドキュメントをまさに"漁った"り、社員同士の1on1
ミーティングの議事録も残されているので、それらを見る中で、「ああ、こういう感じの会社なんだ」というのが実態として分かるので、すごく安心感がありました。
ー課題を進めていくこと自体はどうでしたか?
柴田(法務):
僕は「HERPがリファレンスチェック事業を行う場合の法的課題」というお題に取り組んだんですが、お題の説明のキックオフのときに、庄田さんが余力があれば…と言ってより抽象度の高い問い、いわば答えのないような問いを投げかけてくれたんです。
他社の課題選考だと「契約書のレビューをしてください」とか、実務的で時間をかければできてしまうものが多く、このような課題だと、面接で伝えられなかった自分の情報を伝えられないので、候補者としてやる意義を感じられないんです。
HERPの課題は、抽象度も難易度も高くて、いくら考えても多分考え続けられるようなものを出してきてくれたっていうのが、本当に私は嬉しくて、答えがないってことは、等身大の実力を見せるしかないし、逆に言えば見せることができる。なら思いっきり打ち込んでみようって思える課題だったなと思います。
ー抽象度が高いからこそ、自分のことを真に見極められてもらえるということですか。
柴田(法務):
それって候補者には多分すごい嬉しいと思うことで、逆に自分のアトラクトポイントを出せない課題を出されてしまったら悲しいですよね。
ー庄田さんや徳永さんから見て柴田さんはどう見えていましたか?
庄田(CEO):
振り返ると、課題のスコープの広さが適切に設計できずに負担がかかってしまう候補者さんもいるんだけど、柴田さんは課題の抽象度高くて良かったなとというパターンだったなと。
難しさの構造が2つあって、ひとつは課題そのものの抽象度の高さや正解のない難易度的な話と、もうひとつは内側の人たちもみんなそれぞれで違うこと言うから、いろいろな意見を自分なりの解釈に変換して、要素を抽出した上で自分なりの答えにしないといけないという2つがあるわけです。それを柴田さんはそれを両方自分なりに構造を作ってお話していただいたのが分かって、この人は良い人だと思えました。
徳永(COO):
柴田さんの場合は、コミットメント強そうな部分もトライアルで見えたのは良かったですね。
庄田(CEO):
確かに確かに。
徳永(COO):
課題を解く頭の良さみたいなものは見せてもらってその部分での納得感はありつつ、かつ「めちゃくちゃ頑張るやん!この人」みたいになった。
だから、いろんな人とコミュニケーションを取りながら物事を成し遂げられそうだなというイメージが湧いたので、最終的に自信を持って内定を出すことができました。
ー抽象度の高い課題設定をしているからこそ見えてくる思考する能力と、トライアルという形で一緒に働くことでコミットメントの2つの側面が見えてくるんですね。
トライアル入社・課題選考のデメリットは?
ー今度は逆にデメリットについて伺いたいです。3年間ほどトライアル入社という形を運用したわけですが、デメリットと感じるものはありましたか?
庄田(CEO):
・運用にリソースがかかる
・候補者側の体験として重たい
・選考のリードタイムが長くなってしまう
の分かりやすいこと以外はあんまりないですかね。
徳永(COO):
運用のリソースはそういうものだと思って受け入れてるけど、お題とかはある程度統一して運用しやすいようにできる改善はしています。
あとは、候補者が一通り他社の選考をある程度受けたあとに、HERPを受けた場合に、リードタイムの長さが致命的になってしまうという問題がありました。もう他では内定間際なのに、課題をやるっているのはあまり候補者的にはやらなくてもいいやってなってしまうので。
なので、3ヶ月ほど前から、面接だけで簡潔できるワークサンプルテストも選べるようにして、候補者の選考状況や希望に応じて、今は柔軟に運用しています。
最初期には、社員も巻き込まれるのに慣れていないせいで、候補者から「雰囲気がよくない」という指摘をもらってたことは正直ありましたかね。
でも今は、社員も候補者と1on1したりするのにも慣れてきてるし、みんなが主体的に取り組んでくれるようになっていって次第に改善していってると感じてます。
ー社員が主体的に採用にコミットしてくれるからこそ成り立っている候補者体験というのは間違いないかもしれませんね。
トライアル入社を運用していると、社員の採用への意識醸成に繋がる?
庄田(CEO):
トライアル入社を運用していると、候補者といろんな社員がなんとなく知り合った状態になっているから、「この人に来てほしい」って思ったときには、みんなも頑張ってアトラクトに協力しようって意識に自然となっているんですよね。
ー選考の場を社員にも開くことで、社内にもプラスの働きがあると。
庄田(CEO):
選考の初めの方から知っているのと、内定したあとで「この人が内定者です」って紹介されるのでは、その人に対しての関心度合いが全然違うと思うんです。
例えば、最初のinomamiの採用の話に戻るけど、inomamiに内定を出したとき、彼女はHERPともう1社ですごく悩んでいたんですよね。
そこから彼女が内定決めるまでに、何人くらいかな、採用会食、と言っても飲み会ではあるんだけど、何回かしていて10人くらいとは全然話していると思います。当時なら全社員の半数に近いくらいかも。
彼女はセールス職の選考だったけど、デザイナーのとはやや、エンジニアのまざっちとかもアトラクト頑張りたいって言って加わってくれて。
それで、ユーザーコミュニティ会でやっていたBBQの場にも、「ユーザーと触れ合ってみて欲しい」ってことで、社員がinomamiのことを呼んでくれてたりして、その時に彼女としてもHERPにしようかなと思っていたみたいですが、意思決定に至ってくれました。
いろんな社員が彼女にたいして、興味をもってそれぞれに何度もコミュニケーションを取ってアトラクトしてくれたからこそ、彼女もHERPのことをよく理解できたし惹かれていった、と入社エントリに書いてくれてるんだけど(笑)
だからトライアル入社を運用することは社員のリソースをただ使ってしまうだけじゃなくて、「採用に対してちゃんと積極的に関わろう」と、みんなが候補者の対応に前向きに取り組もっていう気持ちを作るひとつのきっかけになっていると僕は感じていて、だからこそ企業の採用力が底上げされる…という、これはトライアル入社をとことんやっていることの重要な意味のひとつかなと思っています。
ートライアル入社を社員みんなで運用することが、会社で「スクラム採用」の意識を醸成するきっかけづくりのもなるんですね。3年間、運用したからこその部分を聞けてよかったです
まとめ
今回は、CEOの庄田、COOの徳永と、最近入社した法務の柴田さんを迎えて、HERPの選考フローで特徴的な「トライアル入社」について聞いてみました。
運用リソースがかかってしまうことや、選考のリードタイムが長くなってしまうというデメリットがあるものの、企業と候補者双方のマッチング精度の向上においてメリットがあること。そして3年間の運用の中で、トライアル入社を行うことは社内にも採用への意識醸成のきっかけにもなっているということを聞けました。
と、今回も「スクラム採用」を支えるトライアル入社という選考フローに関するHERPの振り返りをお伝えしましたが、弊社のスクラム採用の実践も、いち当事者企業としてまだまだ発展途上なところです。今後も、世の中の企業の採用活動の役に立つような、HERPのリアルな採用の現場のウラ側をお伝えできればと思います。
トライアル入社などの選考フローについてカルチャーデックに詳しく記載していますので、気になる方は参考にしてみてください。
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以上、HERP公式note編集部(@herp_inc)でした!